マレーシアは、非常に多民族・多文化な社会が特徴で、各民族がそれぞれ異なる言語、宗教、習慣、文化的背景を持っています。主な民族グループは、マレー人、華人(中国系)、インディアン(インド系)があり、それぞれの名前の付け方に特徴があります。
各民族の名前の文化も個性豊かですよ。
伝統的なイスラム教徒・マレー人の名前はどう決まる?
一般的に、マレー人の名前は宗教的な意味が強く、以下の様に構成されます。
ファーストネーム(本人の名前) + 父親の名前(〜の息子、娘)
父親の名前に「ビン(息子)」や「ビンテ(娘)」という接頭辞が使われます。「bin」は「〜の息子」を意味し、「binti」は「〜の娘」を意味します。
例えば、日本で有名なマレーシア人と言えば、この方、1981年~2003年の前在任期間中、日本を手本に国の開発を進める「ルックイースト政策」を採用し、自国を「東南アジアの優等生」と呼ばれるまでに成長させた、元首相のマハティール氏。彼の本名は「マハティール・ビン・モハマド(Mahathir bin Mohamad)」です。つまり、マハティール氏は、モハマド氏の息子という意味になるのです。
この命名ルールは、マレーシアの伝統的な宗教的価値観にも深く根付いています。
また、イスラム教の影響を受けた名前がよく使われていて、例えば、「Mohammad」や「Abdullah」など、イスラム教の預言者や神に関連する名前が多いです。
一般的に、ファミリーネームは存在しない ようです。
神聖な意味を込めたアラビア語の名前
マレー人の名前の多くは、アラビア語の名前が由来です。イスラム教の影響を受けて、アラビア語の名前が広く使われており、名前に込められた意味も神聖なものが多いです。
男性の名前の例
- Mohammad(ムハンマド): イスラム教の預言者に由来。
- Ahmad(アハマド): 「賛美される者」を意味する名前。
- Ali(アリ): イスラム教の重要な人物であるアリー(アリ)に由来。
女性の名前の例
- Fatimah(ファティマ): ムハンマドの娘の名前。
- Aishah(アイシャ): ムハンマドの妻に由来。
- Siti(シティ): 「貴婦人」を意味し、女性に多い名前。
マレーシアで最も大きな少数民族グループ・中国系の華人の名前はどう決まる?
中国系のマレーシア人(華人)の名前の付け方は、中国の伝統に従っていますが、マレーシアの文化と融合しています。中国系の名前は通常、以下のように構成されます。
姓 + ミドルネーム + ファーストネーム
中国系では日本と同様に、姓が名前の最初に来ます。例えば「Lim」や「Tan」などが一般的です。華人はファミリーネームを重視し、家族の伝統や祖先を大切にしているんですね。
ミドルネームには、親がつけた名前がありますが、これが一部の場合は省略されることもあります。
ファーストネームは、一般的に1文字または2文字の個人名から成り立っています。良い意味や縁起を担いだ言葉が選ばれ、個人の道徳的価値観や将来の成功に対する親の願いが込められています。
例えば
- 「明」(ミン): 明るい、光明、賢明などの意味。
- 「華」(ホア): 美しさや栄光、華やかさを意味します。
- 「國」(クオ): 国や国家を意味します。
- 「忠」(チョン): 忠誠心や誠実さを表します。
ところで、中国系マレーシア人の有名人といえば、ジミー・チュウが挙げられます。ファッション好きな方なら、その名前を聞いたことがあるかもしれません。
彼はマレーシア出身ですが、イギリスへ渡ったことで英語の語順に従い、姓が最後に配置されています。本来の姓は「周(Choo)」、ファーストネームは「仰傑(Yeang Keat)」。そして「ジミー(Jimmy)」はミドルネームではなく、ニックネームとして使われています。
このように、英語圏では名前の表記が変わることが多く、中国系の人々もニックネームを用いるケースが一般的です。ジミー・チュウもその一例で、親しみやすい「ジミー」という名前をブランド名として広く浸透させました。
インド亜大陸からの移民・南インドからきたインディアン(インド系)の名前はどう決まる?
ヒンドゥー教がインディアン系マレーシア人の大多数の宗教であり、名前に神の名前や祝福が含まれている場合が多く、以下の様に構成されます。
個人名 + 父親の名前 + 姓(ファミリーネーム)
個人名には、1つまたは2つの名前が使われ、親の希望や宗教的・文化的な意味が込められることが多いです。神々の名前や、希望する人生の価値観に基づいた言葉を選ぶことが一般的です。
父親の名前は、そのままミドルネームやラストネームとして使われることが一般的です。代々、継承していくんですね。
最後に姓(ファミリーネーム)ですが、地域やカーストに関連した姓が一般的です。姓は通常、家族の伝統や地域性を反映し、しばしば家族や血統を表す役割を持ちます。
インディアンの姓には、地域に由来する名前が多く、例えば、グジャラート州の人々は「Patel」を使うことが多く、マハラシュトラ州の人々は「Deshmukh」や「Kulkarni」を使います。
ヒンドゥー教では、姓がその人のカーストを反映することがあります。例えば、ブラフミン(学者階級)の人々は「Sharma」や「Brahman」などの姓を使うことが多く、商業層の人々は「Patel」や「Shah」などの姓を使うことがあります。
ヒンドゥー教だけではないマレーシアのインディアン
インディアンの大多数はヒンドゥー教徒ですが、シーク教やイスラム教徒、キリスト教徒も見られます。
シーク教徒の名前は、シーク教の教義に基づいて選ばれます。シーク教徒の名前は、神の名や宗教的な理念を反映することが一般的です。
通常名前の先頭に「Singh」(男性)または「Kaur」(女性)という名前をつけます。これらはそれぞれ「ライオン」や「プリンセス」という意味で、シーク教徒全員に共通する名前です。
イスラム教徒の名前は、アラビア語やイスラムの影響を受けた名前が多いです。名前には、イスラム教の預言者や神の名前が使われることが一般的です。マレー人と同じですね!
英語名に対する文化的な考え方
マレーシアでは英語名を持っている人も少なくありません。英語名は、通常、個人名(ファーストネーム)と同じか、または簡単に覚えやすい名前が選ばれます。
マレーシアにおける英語名は、特に多民族・多文化社会であることから非常に一般的であり、さまざまな背景や目的に応じて使われています。英語はマレーシアの公式言語の一つであり、教育やビジネス、国際的な交流で重要な役割を果たしているため、社会全体で広く受け入れられています。
まとめ
- マレーシアの主な民族グループは、マレー人、華人(中国系)、インディアン(インド系)の3つ
- イスラム教徒のマレー人にはファミリーネームが無い
- 華人(中国系)は家族の伝統や祖先を大切にし、ファミリーネームを重視
- インディアン(インド系)は、地域やカーストに関連した姓が一般的
- 国際社会にも対応できる英語名も一般的
名前を聞いたらそのマレーシア人がどのような背景を持っている人か理解できて、興味深いですね!
次回は、モンゴルの名前文化についてみていきましょう。お楽しみに!
参考
マハティール・ビン・モハマド (Wikipedia)
ジミー・チュウ (Wikipedia)