世界から見た日本語ってどんな言語?~日本語を学ぶ外国人の本音と「空耳ことば」の面白さ~

「いただきます」「もったいない」「よろしくお願いします」——。

日本語の響きは、私たちにとっては当たり前でも、世界の人から見ると不思議で面白いと感じられることがよくあります。

今回のブログでは、外国人から見た「日本語の面白さ・難しさ」に加え、「日本語に聞こえる他言語」=“空耳ことば”の楽しさにも注目してみたいと思います。

日本語は世界で“最難関レベル”の言語!?

「ニホンゴ、ムズカシイ!」

よく耳にする言葉ですね。

では、どこが「難しい」と感じる部分なのでしょうか。 人は、自分の母語(第一言語)と共通点が少ないほど、別の言語を「難しい」と感じる傾向があります。日本語が難しいとされる主な理由は以下の通りです。


文字体系が複雑

ひらがな、カタカナ、漢字という3種類の文字が存在し、それぞれ使い分けが必要。
さらに漢字には複数の読み方があり、習得に時間がかかります。

独特な文法

語順(SOV型)が英語などの欧米言語と異なり、動詞が文末に来る、主語が省略されやすいといった特徴があります。

敬語の存在

丁寧語・尊敬語・謙譲語など、相手や場面によって適切に使い分ける必要があります。
これは日本人でも難しいと感じる要素です。

曖昧な表現が多い

直接的な言い回しを避ける傾向があり、「空気を読む」文化があることも、言語理解を難しくします。


そのほか、日本語に限らず、「普段使わない発音」などがあると、習得を難しく感じてしまいます。

英語やフランス語などのヨーロッパ系言語とは文法も発音も大きく異なるため、英語圏出身の人にとっては特に習得が難しいようです。

つまり、英語と日本語に共通点が少ない=お互いにとって学びにくい言語ということでもあるのです。

逆に見れば、日本語との共通点が少ない言語は、日本人も習得が難しいということですね。

世界の公用語と日本語の立ち位置

こうした「習得難易度の高さ」は、世界の国際機関でも言語の選択に表れています。

日本語は国連で使われている「世界の公用語」には含まれていないのをご存じですか?

国際連合(UN)では、英語、フランス語、スペイン語、中国語、ロシア語、アラビア語の6つが公用語として採用されています。

日本語は話者人口が1億人を超えるにもかかわらず、公用語には採用されていません。これらはいずれも、話者数の多さだけでなく、植民地支配や冷戦構造といった歴史的・政治的背景を反映したものです。日本語学習者が世界的に見ればマイナー言語を選んでいるという状況が、ここからもわかります。

このように、残念ながら、日本語はまだ“世界標準”とは言えない位置づけにありますが、それでもアニメやマンガ、観光地としての人気で世界中に日本語学習者が増えているのは事実です。

日本語と共通点のある言語は?

少しでも共通点があれば、言語習得のハードルが低くなりますよね。

いくつか、共通点のある言語をご紹介したいと思います。

文法構造(語順・助詞・動詞の位置など)

韓国語

語順はSOV(主語-目的語-動詞)で、「〜は」「〜を」などの助詞が文法の中心。
文法全体の構造が非常に日本語と似ています。

ミャンマー語

語順はSOV(主語-目的語-動詞)で、助詞の活用が多く、語順より助詞の役割が重要という点が日本語と似ています。
また、敬語の様な丁寧さの表現があります。

なぜミャンマー人は日本語が上手なの?

日本に来ている外国人の中でも、日本語が上達しやすい人たちもいます。

その代表がミャンマー人。

その理由の一つに、ミャンマー語と日本語は語順が似ているという点が挙げられます。

両方とも「主語+目的語+動詞(SOV型)」の語順で、言葉のリズムや思考の構造が似ているのです。

ちなみに、日本語もミャンマー語もチベット・ビルマ語派に分類される言語で、根っこの部分に共通点があるとも言われています。

発音・音の構造

ハワイ語・マオリ語などのポリネシア系言語

日本語と同様、母音中心で音節が単純で、「音の感覚が似ている」ため日本人が発音しやすい言語です。

文字文化や語彙

中国語

語彙面での共通点が多い(例:「文化」「経済」「自然」などの熟語は同じ漢字)
日本語の漢字語彙の約6~7割は中国語由来です。

世界に“日本語っぽく聞こえる”ことばがあった!

そんな中で、外国人と話していると「それ、日本語に聞こえる!」と思うことがあります。

たとえば、ミャンマー語で「モーゼッタイヨワネーデー(ずっと雨が降ってる)」は、まるで「もう絶対酔わねぇで!」という日本語に聞こえたり…。

こうした“空耳ワード”をいくつか紹介しましょう。

🍣 ミャンマー語編

  • ホッケ:「はい」
  • サーバー(鯖):「食べてください」
  • サーメー(鮫):「食べよう」
  • チンカイッテー:「蚊に刺された(虫刺され)」→「●●かゆいってー」
  • ピーヨーピーヨー:「OK OK!」→「ぴよぴよ🐥」
  • モーゼッタイヨワネーデー:「ずっと雨が降ってる」→「もう絶対酔わねぇで!」

🍕 イタリア語編

  • Mangia!(マンジャ!):「食べなさい」→「万歳!」
  • O sole mio!(オー・ソレ・ミオ!):「私の太陽よ」→「オー、それ見よ!」
  • taberna(タベルナ):「食堂」→「食べるな」

他の言語でも…

(ウルドゥー語)
・スーチー・バート・ヘ:「それは本当だ」→「すし食べたい」
・シュクリヤ:「ありがとう」→「シュークリームや」

(アラビア語)
・”ṣalāt al-ʿaṣr”(アスルの礼拝、イスラム教の午後の礼拝):→「サラダ油」
・”kālī rāīs”(カリーフ・ライス=カリフの指導者):→「カレーライス」

ウルドゥー語やアラビア語にもリズムが似た音があり、日本語ネイティブにとっても印象に残りやすいです。

まとめ

  • 日本語を通じて世界とつながる楽しさ
    日本語は確かに難しい言語かもしれません。
    でも、その分、学んでくれた外国人の努力や、日本語を通じた文化の共有には、深い意味があります。
    そして、日本人にとっても外国語に「似ている音」「似ている構造」があると知れば、言葉の学びも、ぐっと楽しくなるはずです。
  • 言葉の違いがあるからこそ、面白い。
    日本語と外国語をつなぐ“空耳”の橋を、これからも探していきましょう!

次回は外国人が日本語を学ぶ際の壁について、ご紹介したいと思います。お楽しみに!