日本への渡航や滞在を考えている外国籍の方にとって、「査証(ビザ)」 「在留資格認定証明書(COE)」 「在留資格」 の違いは非常に分かりづらいポイントです。しかし、これらはそれぞれ役割が異なる重要な要素であり、正しく理解しておくことで入国・滞在の手続きがスムーズになります。
本記事では、それぞれの定義と役割の違いを明確に解説し、あわせて査証免除国や日本のパスポート事情についてもご紹介します。

査証(ビザ)とは?
査証(ビザ)は、外国籍の人が日本に入国する前に、その人物が日本に入国することを「推薦する」書類です。日本国外の日本大使館または領事館が発給し、「この人は日本に入国しても問題ないと思われます」と証明するものです。
この査証の発給を担当するのは、外務省の在外公館(大使館・領事館)です。つまり、査証の手続きは外務省の管轄になります。
ただし、ビザを持っていても最終的な入国許可は日本の入国審査官、つまり入国する際の空港/港のイミグレーション(入国管理局)が判断します。
査証の種類(例)
観光ビザ(短期滞在)、就労ビザ、留学ビザ、配偶者ビザetc…
査証が必要な人
原則として、日本に中長期滞在するすべての外国人
短期滞在でも、査証免除国に該当しない国の国籍を持つ人
※査証免除国については、下記で詳しく説明します。

査証の話題に関連して、日本人にとって少し誇らしいトピックを一つご紹介します。
日本のパスポートは“世界最強”?
日本のパスポートは、「ビザなしで渡航できる国の数が最も多い」ことで知られており、世界のパスポートランキングでは常に上位にランクインしています。ここ数年は首位からは陥落してしまいましたが、最新の調査では、190か国前後にビザなしまたは到着ビザで入国可能とされており、「世界最強のパスポート」の一つと評されています。
これにより、日本人は多くの国でビザ申請をせずに自由に出入国できますが、他国から日本に来る場合には、ビザの申請や在留資格の確認が必要となるケースが多くなっています。

在留資格認定証明書(COE)とは?
在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility:COE)は、日本に中長期滞在を希望する外国人が、事前に日本の入国管理局に申請して発行される書類です。
この書類は、「この外国人は日本の在留資格に該当する活動をする予定である」とあらかじめ入国管理局が認定した証明書です。
このCOEの発行を担当するのは、法務省(出入国在留管理庁)です。つまり、COEは法務省の管轄下で処理される書類です。
ビザ申請時にこのCOEを添付することで、日本大使館や領事館での審査がスムーズになり、入国も円滑になります。
COEが必要なケース
✅ 就労ビザ、留学ビザ、家族滞在などの中長期滞在を目的とする場合
✅ 短期滞在(観光など)には不要
COEの申請者
原則として、日本にいる受け入れ機関や雇用主が申請人となります(本人ではない)
在留資格とは?
在留資格は、外国人が日本に入国後に付与される「活動内容に応じた滞在の許可」のことです。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」「留学」「家族滞在」などが在留資格の種類にあたります。
在留資格を得ることで、その活動内容に沿った範囲での滞在が認められます。

- 在留資格は入国後に付与される
- COEはその資格を事前に確認した“下準備書類”
- 査証はそのCOEをもとにビザを発給する“入国用の推薦状”
- 査証は外務省、COEと在留資格は法務省の管轄

査証免除国についても知っておこう
日本は一部の国・地域に対して、観光などの短期滞在(通常90日以内)に限り、ビザの取得を免除しています。これが「査証免除国」と呼ばれる制度です。
主な査証免除国
アメリカ、カナダ、オーストラリア、EU諸国など(計71カ国・地域)
まとめ
「査証」「在留資格認定証明書」「在留資格」はそれぞれ別のものです。
- 査証は日本に入国するための“推薦状”(外務省管轄)
- 在留資格認定証明書はその“下準備”(法務省管轄)
- 在留資格は“滞在のための活動内容の付与”(法務省管轄)
短期滞在と長期滞在では、必要な書類や手続きが異なります。
入国目的に応じた正しい手続きで、スムーズな滞在準備を進めましょう!